2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18064005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鍋島 達弥 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (80198374)
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Keywords | 超分子化学 / 分子認識 / 配位結合 / 応答性分子 / 協同効果 / ホストーゲスト |
Research Abstract |
元素間の相乗的相互作用を利用した協同的・応答的な機能をもつ金属錯体超分子の構築を目的に本年度は以下の検討を中心に行った。 N_2O_2配位部位をもつジピリン配位子のアルミニウム錯体が示すキレート配位能と発光特性 ジピリンのピロールα位に2-ヒドロキシフェニル基を2つ導入し、N_2O_2型の配位部位を有するジピリンを合成し、そのホウ素、アルミニウム錯体の合成とキレート配位能について検討した。このN_2O_2型配位部位を導入したジピリンのアルミニウム錯体の構造をNMRやX線結晶解析により明らかとすることができた。また各種の分光学的検討から、これらは異なる金属との相乗的な錯形成により発光特性がコントロール可能な発光素子や超分子集積ユニットとして利用可能であることがわかった。 らせん型錯体のキラリティー制御と結晶中での超らせん構造の形成 シッフ塩基やオキシム部位を複数もつ多様な大環状配位子や非環状多座配位子を合成し、非常に協同的な錯形成によって生成するヘテロ多核錯体のラセン構造の制御について、溶液中および固体中でこれを詳細に検討した。その結果、比較的小さな光学活性な部位を導入するだけで、ラセンの向きを非常に効果的に制御できることを見いだしただけでなく、固体状態では超ラセンの構築にも成功した。このように複数の要素を集積させこれらを協同的に働かせることで、単独の金属錯体では実現が困難な、機能性分子システムを構築することができ、最終年度に向けたより高度な協同性および応答性機能の実現にとって有用な知見を得ることができた。
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