2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18064006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 正治 京都大学, 化学研究所, 教授 (00282723)
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Keywords | 炭素-炭素結合 / 後周期 |
Research Abstract |
本研究では,多様な電子状態および配位状態をとるAlやInなどの13族典型元素と有機鉄錯体触媒が共存・協働する複合反応剤を設計し,アルケン・アルキン類やハロアルカンを活用する精密炭素-炭素結合生成反応の開発を目指す.この成否の鍵を握るのはアニオン性典型元素配位子を介した遷移金属中心と典型金属元素中心との動的相互作用の精密制御であり,その為には触媒反応の鍵サイクルとなる酸化的付加および金属交換過程における,複数元素の空間的および電子的な相互交渉の解明が必須である.本年度は,本反応開発の基盤となるインジウム触媒による炭素-炭素結合生成反応の開発を行い以下に示すような成果を得たのでその概要を以下に述べる. 有機亜鉛試薬のアルケンへの遷移構造の電子状態にヒントを得てアルキン類へのカルボニル化合物の触媒的付加反応を試みたところ,1,3-ジカルボニル化合物の単純アルキンへ位置選択的付加反応によるα位アルケニル化反応を見出した。β-ケトエステルとアルキンのほぼ当量混合物を0.05mol%の触媒存在下加熱した後,反応容器から減圧蒸留することで92%の収率でアルケニル化生成物が得られる.本反応は,活性メチレンの炭素-水素結合へのアルキンの挿入反応であり,副生成物が無く極めて原子利用効率の高い反応である.反応性の高いアセチレンそのものを使って直接ビニル化を行うためには,触媒系を少し工夫する必要がある.脱水剤,および酸の補足剤として働くモレキュラーシーブをインジウムトリフラートに対して100重量%反応系に添加することで,ケトエステルのα位へのビニル基の導入が高収率で進行する.この際,アセチレンは加圧する大気圧で良く,また溶接用のグレードの低いものを精製せずに用いることができる.以上,インジウムを触媒とした新規触媒的炭素-炭素結合生成反応を開発することができた.
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Research Products
(4 results)