2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18064009
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大木 靖弘 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 助教 (10324394)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 和行 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 教授 (10155096)
|
Keywords | カルコゲン / 硫黄 / 遷移金属 / クラスター / 鉄 / チオラート / 自己集積化 / 錯体 |
Research Abstract |
金属-硫黄クラスターは天然に広く存在し、電子伝達から触媒反応まで、多様な機能を担っている。現在構造が明らかにされているクラスターの中で、最も大きな無機骨格を持つものは窒素固定化酵素ニトロゲナーゼ中に存在するP-clusterとFeMo-cofactorであり、またそれらの組み合わせが触媒として作用し、常温常圧下で窒素からアンモニアを生成することは非常に興味深い。我々は、錯体合成の手法を駆使しながらこれらのクラスター部位の人工構築に取り組んでおり、最近鉄(II)アミド錯体を前駆体に用いて非極性溶媒中で均一に行う鉄-硫黄クラスター合成反応を開発し、その結果P-clusterの無機骨格を人工構築することに成功した。我々は次の狙いをFeMo-cofactorの構造モデルに定め、これまでの知見を基にして新たな鉄-硫黄クラスター合成反応を開発した。具体的には、嵩高いチオラートを持つFe(II)前駆体を合成し、続いて無機硫黄を酸化剤として作用させた。チオラートの置換基は主に芳香族基を用い、オルト位の置換基で嵩高さに多様性を持たせた。スクリーニングした結果、-STip(Tip=2,4,6-iPr_3C_6H_2)および-SDmp(Dmp=2,6-(mesityl)_2C_6H_3)を組み合わせた配位不飽和な鉄チオラート錯体[Fe(STip)(μ-SDmp)]_2と無機硫黄の反応から、幾何的にFeMo-cofactorを模倣する新規[8Fe-7S]クラスター [Fe_8S_7(SDmp)_2(μ-SDmp)_2(μ-STip)]が得られることを見いだした。このESRスペクトルを測定したところ、10KでS=1/2に相当するrhombicなシグナルが得られた。8つの鉄は反強磁性的に相互作用し、基底状態ではスピンが一つだけ残ることを示している。
|
Research Products
(19 results)