2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18064010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小澤 文幸 京都大学, 化学研究所, 教授 (40134837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 雅明 京都大学, 化学研究所, 助教授 (20292203)
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Keywords | 遷移金属 / 低配位リン相乗系 / ジホスフィニデンシクロブテン / dπ-pπ相互作用 / π共役系遷移金属錯体 / ヒドロシラン / ヒドロキシ錯体 / 水の活性化 / 混合原子価錯体 |
Research Abstract |
1.ジホスフィニデンシクロブテン配位子(DPCB-Y)/白金/アセチレンからなる一連の白金(0)錯体([Pt(ArC≡CAr)(DPCB-Y)])(1)を合成し、DPCB-Yの特異な電子構造に由来する金属-配位子間の強いdπ-pπ相互作用について検討した。その結果、1がアセチレン上のAr基を含めて平面性が極めて高くπ共役に有利な分子構造を採ることわかった。また、Arに電子供与性基を、一方Yに電子求引性基を導入することにより、錯体のπ-π^*遷移の吸収波長が顕著に長波長シフトした。電気化学的な測定により、Ar基の効果はπ軌道(HOMO)レベルに直接反映されていることが分かった。以上の結果より、白金のdπ軌道を介して、ArC≡CArとDPCB-Y間にpush-pull型のπ共役系が形成されているものと推定した。 2.DPCB配位ルテニウム触媒を用いるヒドロシリル化反応の触媒活性種の生成過程を検証するため、[Ru(μ-Cl)(Cl)(CO)(DPCB)]_2(2)とヒドロシランとの反応を調べた。その結果、反応には水の関与が必須であり、2と水から生成する[Ru(OH)(Cl)(CO)(DPCB)](3)がシラノールの副生を伴ってヒドロシランと反応し、ヒドリド錯体[RuH(Cl)(CO)(DPCB)](4)が生成することが分かった。4は極めて不安定であるが、PPh_3を用いて[RuH(Cl)(CO)(PPh_3)(DPCB)](5)として単離同定することができた。 3.[Rh_2(μ-OH)_2(DPCB)_2](6)とヒドロシランとの反応より[Rh_2(μ-H)(μ-OH)(DPCB)_2](7)が生成した。錯体7はπ酸であるCO雰囲気下において容易に水を脱離し、[Rh_2(CO)_4(DPCB)](8)を与えた。8は窒素雰囲気下において、さらに[Rh_2(μ-CO)_2(DPCB)_2](9)へと変化した。9の二つにロジウム原子はそれぞれ平面正方形と四面体形の幾何構造をもち、混合原子価錯体の生成が示唆された。
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Research Products
(3 results)