2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18064010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小澤 文幸 Kyoto University, 化学研究所, 教授 (40134837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 雅明 京都大学, 化学研究所, 准教授 (20292203)
滝田 良 京都大学, 化学研究所, 助教 (50452321)
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Keywords | 遷移金属 / 低配位リン相乗系 / ジホスフィニデンシクロブテン / dπ-pπ相互作用 / π共役系遷移金属錯体 / ヒドロシリル化 / σ結合メタセシス / P-C還元的脱離 / ホモカップリング |
Research Abstract |
1.平面構造をもつジホスフィニデンシクロブタ[l]フェナントレン配位子(DPCB-phen)を用いて幅広いπ共役系をもつ白金(0)アルキン錯体を合成できることを明らかにした。最近、光電子材料への応用をめざしてHOMO/LUMOギャップの小さな拡張π共役系有機分子を合成する試みが増えているが、本研究は配位結合を介してそのような分子を簡便に合成できることを示したものである。 2.ジホスフィニデンシクロブテン配位子(DPCB-Y)を用いてビス(2-ピリジルフェニル)イリジウム(III)錯体のHOMO準位と発光波長を大きく変化できることを見いだした。Yが電子求引性基であるCF_3の場合には青緑色の発光(λ_em=492nm)が観測され、熱安定性にも優れている。 3.末端アルキンのZ選択的ヒドロシリル化反応に高活性と高選択性を示す[RuCl_2(CO)(DPCB-OMe)]錯体の触媒機能について知見を得るため、反応中間体である[Ru(styryl)Cl(CO)(DPCB-OMe)]錯体の立体構造を実験と理論の両面から精査した。その結果、この錯体が、配位挟角の小さなDPCB-OMe配位子の存在に起因して極めて大きな配位空間をもつためにヒドロシランの配位を受けやすく、またDPCB-OMeの強い電子求引性に起因してヒドロシランとのσ結合メタセシス反応を起こしやすいことが示唆された。 4.A03班・宮浦グループとの領域内共同研究を進めるため、その材料となる[Pd(styryl)BrL_2]錯体の合成と反応性を検討した。その結果、スチリル基がE体であるかZ体であるかにより錯体の安定性が大きく異なり、Z体はスチリルブロミドの存在下にホモカップリング生成物である1,4-ジフェニルブタジエンを容易に生成することが分かった。さらに、P-C還元的脱離を伴う特異な反応機構を明らかにした。
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Research Products
(13 results)