2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18064010
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小澤 文幸 Kyoto University, 化学研究所, 教授 (40134837)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 雅明 弘前大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20292203)
滝田 良 京都大学, 化学研究所, 助教 (50452321)
中島 裕美子 京都大学, 化学研究所, 助教 (80462711)
|
Keywords | 遷移金属 / 低配位リン相乗系 / ホスファアルケン配位子 / 配位子特性 / π(d-p)相互作用 / 混合原子価錯体 |
Research Abstract |
(1) ジホスフィニデンシクロブテン配位子(DPCB-Y)とジフェニルアセチレン誘導体(tolan-X)あるいはジチオラート配位子(dbt, dmit)とを併せ持つ一連の白金錯体を合成し、tolan-XおよびDPCB-Y上の置換基XおよびYならびにジチオラート配位子が錯体の電子状態に及ぼす影響について、NMR,uv-VisスペクトルならびにDFT計算を用いて系統的に調べた。その結果、(a) 錯体の31P NMR化学シフトはPt-P結合距離に比例して変化し、Pt-P結合が短く白金とDPCB-Y配位子間の相互作用が大きいほど高磁場シフトする、(b) UV-Visスペクトルの吸収波長はtolan-Xあるいはジチオラート配位子のπ供与性が強いほど長波長シフトするが、一方で、(c) 置換基Yの電子求引性が強く、π受容性が高いほど、吸収が長波長側にシフトする、などの知見が得られた。これらの結果は、白金とDPCB-Y配位子間に強いπ(d-p)相互作用が存在することを示している。 (2) 2,6-ビス(ホスファエテニル)ピリジン配位子(BPEP)を有する4配位のFe(I)錯体が、torigonal monopyramidalという、ほとんど前例のない、極めて歪んだ幾何構造を持つことを見いだした。DFT計算を用いて、この歪み構造が、鉄とBPEP配位子間の強い結合性π(d-p)相互作用に起因することを明らかにした。また、得られたFe(I)錯体がジアゾメタンに対して高い反応性を示し、室温付近の穏和な条件下に容易にN-N結合の切断を起こすことを見いだした。 (3) 四鉄クラスターによる安定化効果を利用して非平面型カルボカチオンの発生に成功した。このカチオン種は強いルイス酸性を示し、C-NCCH3型構造から容易にエノール化を経てC-CH2CN型構造へと変化した。
|
Research Products
(14 results)