2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18064011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村橋 哲郎 Osaka University, 大学院・工学研究科, 准教授 (40314380)
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Keywords | パラジウム / 金属クラスター / 共役ポリエン / 金属鎖 |
Research Abstract |
金属原子団の構造を高精度に1次元配列制御、2次元配列制御することは、「ナノワイヤー」や「ナノシート」等の新機能性物質・材料への夢を実現する鍵であるが、その分子科学的配列法は未発達である。本研究では、既存の金属の自発的自己集合法では達成できない、高精度の金属の1次元および2次元の規則配列法を確立することを目指して研究を進めている。具体的には、共役π系不飽和炭化水素を「分子テンプレート」として利用した新しい化学的手法を開発し、分子中で金属核配列を精密に制御することを目指す。また、次元あるいは2次元の金属規則配列をもとにした、新しい物性、反応性、触媒作用の基礎科学へと展開し、新機能性物質・材料の概念の創出を探ってゆく。 平成20年度では、1次元金属ワイヤー錯体の動的挙動および酸化還元挙動について検討を進めた。その結果、三核パラジウム鎖サンドイッチ錯体が、固体状態において2種類の配位モードを取り得ることを見出した。即ち、共役トリエン配位子がパラジウム三核上でスライドすることによって生じる2種類の配位異性体の構造をX線構造解析により同定することに成功した。 また1次元金属ワイヤー錯体の酸化還元挙動についても検討を続けており、2電子酸化還元により、共役テトラエン配位子が四核パラジウム鎖上を可逆的にスライドし配位モードを変化させることを明らかにした。
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