2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18064012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺尾 潤 Kyoto University, 工学研究科, 准教授 (00322173)
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Keywords | カルボマグネシウム化 / ハロゲン化アルキル / グリニャール試薬 / チタノセン / 銀触媒 / ビニルグリニャール試薬 / アリルグリニャール試薬 / 1, 2-ジブロモエタン |
Research Abstract |
本研究では、我々が行ってきたアニオン性錯体を活性種とする炭素-炭素及び炭素-ケイ素結合形成反応の開発研究の中で得られた知見を基に、新しい反応機構を経て進行するカルボマグネシウム化反応の開発を目指した。その結果、カルベン配位子を有する銀触媒存在下、利用困難とされてきた高い級数のアルキルグリニャール試薬やアルキン類を用いるカルボマグネシウム化反応を見出した。即ち、銀触媒と1, 2-ジブロモエタン存在下、末端アルキンへの位置選択的なカルボマグネシウム化反応が進行することを見出した。本反応で得られるビニルグリニャール試薬は種々の親電子剤で容易に捕捉でき、対応する生成物が高収率で得られた。1, 2-ジブロモエタンは副反応として進行するアルキル銀の不均一化により、失活したAg(0)錯体への再酸化剤として作用しているものと考えている。また、チタノセン触媒を用いてビニルグリニャール試薬と親電子剤との反応を検討したところ、ビニル基の二量化及び親電子剤由来の炭素官能基の導入段階を鍵とした反応機構を経て進行するカルボマグネシウム化反応の開発に成功した。例えば、チタノセン触媒存在下、ビニルグリニャール試薬と臭化三級アルキルとの反応を行ったところ、ビニル基の二量化と三級アルキル骨格からなるアリルグリニャール試薬が得られた。重水を用いて処理したところ、重水素化体が合計92%の収率で得られ、クロロシランもしくは二酸化炭素との反応により、アリルシラン、カルボン酸が収率良く得られた。
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