2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18064014
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
永島 英夫 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (50159076)
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Keywords | クラスター / ヒドロシラン / 還元反応 / ルテニウム / 重合 / アミド / 白金 / ヘテロバイメタリック錯体 |
Research Abstract |
本研究は、複数の遷移金属中心を含む多核遷移金属錯体と、複数の高周期典型元素を含む分子との多中心相互作用を錯体化学的に解明し、これらの複合体の新規な触媒機能を開発することを目的とする。 具体的なターゲット反応として、すでにわれわれが見出している、複数のルテニウム原子を含むルテニウムクラスター錯体と複数のSi-H基を有する有機ケイ素化合物との間の、ルテニウムとケイ素の多中心相互作用と、その成果としての特異的な還元特性の研究を基盤として、元素化学の視点から多中心-多中心相乗効果の本質を明らかし、多核金属錯体・多中心高周期元素分子の複合体の新しい触媒機能を開発する。 本年度は、その初年度にあたり、まず、特異的な反応性を示すルテニウムクラスターのシラン還元を検討し、2つの成果を得ている。1つは、官能基選択的還元反応の実現であり、ケトン、エステル、アミドは、従来条件では迅速に反応するのに対し、Et_3Nを添加することにより、ケトンとエステルへの反応活性が大幅に低下し、アミドのみがすみやかに還元される。これにより、分子内にケトンやエステル基を有するアミドの選択的還元が達成された。もう1つは、2級アミドの還元反応であり、シランの構造選択により、2種類の異なる反応、2級アミドから2級アミンへの還元反応と、2級アミドから還元的アルキル化を伴う3級アミンへの転換反応が達成された。さらに、すでに同様な反応系が還元反応ではなく、環状エーテルやビニルエーテルの重合反応に有効であることを明らかにしているが、モノマーとして官能基を有するオキセタンの重合、ならびに、シロキサン末端を有するポリビニルエーテルの合成を達成した。元素相乗効果を探る基盤を構築するために、他の元素を含む触媒への展開を同時に検討し、白金や鉄錯体、ヘテロバイメタリック錯体等の合成を達成し、複数のSi-H基をもつケイ素化合物との反応性を検討した。
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Research Products
(6 results)