2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18064016
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
川口 博之 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (20262850)
|
Keywords | ヒドリド錯体 / 前周期遷移 / 多座配位子 / アリールオキシド配位子 / タンタル / ニオブ |
Research Abstract |
前周期遷移金属相乗系錯体の合成とそれを用いた小分子活性化反応の開拓を目的に研究を行った。本年度はタンタル錯体による一酸化炭素COの還元的カップリング反応を見出した。3つのフェノキシド配位子を直鎖状に連結した多座配位子[OOO]^<3->をもつタンタル錯体[(OOO)TaCl_2]_2にKBHEt_3を反応させるとヒドリド錯体[{(OCOO)Ta}_2(H)_3][K(DME)_2](1)が得られた。反応過程で[OOO]配位子のC-H結合活性化が進行し、新しい4座配位子[OCOO]^<4->が生成している。錯体1においてC-H結合活性化反応は可逆的であり、低原子価タンタル錯体の前駆体として作用する。例えば、1にピリジンを反応させるとヒドリド配位子の1つが[OCOO]配位子のメチン炭素へ転位し、金属中心が還元されたTa(IV)-Ta(IV)の2核錯体が得られた。一方、COを反応させると、炭素をとおしてhead-to-head型で6個のCOが連結した6量体[C_6O_6]^<8->が生成し、それが分子内に取り込まれた4核錯体[K(DME)_2]_2[{(OOO)Ta}_2{(OOO)TaH}_2(C_6O_6)](2)が得られた。錯体2の生成過程で、6個のCOが8電子還元されている。錯体2は緑色で、特徴的な可視紫外吸収スペクトルを示す。この吸収は、HOMOである6量体[C_6O_6]骨格のπ軌道からLUMOであるタンタルの空d軌道へのLMCT吸収であることを計算化学から明らかにした。
|
Research Products
(3 results)