2007 Fiscal Year Annual Research Report
多核遷移金属活性点と反応場の制御による選択酸化触媒の開発
Project/Area Number |
18065002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水野 哲孝 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (50181904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 和也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (50334313)
鎌田 慶吾 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (40451801)
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Keywords | ポリオキソメタレート / 銅 / 多核活性点 / アルキン / 酸化的ホモカップリング |
Research Abstract |
本研究では、酸化耐性に優れた金属酸化物クラスター中に多核金属活性点を構築し、これを触媒とする炭化水素類の選択酸化触媒の開発を行っている。本年度は、2個のアジド基により架橋され銅二核サイトを有する銅二置換シリコタングステートの単量体[(n-C_4H_9)_4N]_4[γ-H_2SiW_<10>O_<36>Cu_2(μ-1,1-N_3)_2](I)を合成し、X線単結晶構造解析、元素分析、IR、UV-vis、NMRによりキャラクタリゼーションを行った。触媒Iが、1気圧酸素雰囲気下、種々の脂肪族・芳香族アルキン類の酸化的ホモカップリング反応に対する高活性触媒として機能し、対応するジインへと高選択的に変換できることを見出した。銅一置換シリコタングステート[(n-C_4H_9)_4N]_4[α-H_2SiW_<11>CuO_<39>]や銅を置換していないシリコタングステート[(n-C_4H_9)_4N]_4[γ-SiW_<10>O_<34>(H_2O)_2]、また原料である[(n-C_4H_9)_4N]_4[γ-SiW_<10>O_<34>(H_2O)_2]とCuCl_2の混合物も本反応には不活性であった。これらの結果より、I中の銅二核サイト{Cu_2(μ-1,1-N_3)_2}が本反応系において重要な役割を果たしていることが示唆された。ラージスケールの反応では、ターンオーバー数は468に到達した。この値はこれまでの銅触媒によるアルキンの酸化的ホモカップリング反応の中でも最も高い値である。さらに分光学的手法によりその反応機構を解明し、多核金属活性点の重要性を明らかにした。本反応は、これまでに銅二核サイトを持つ触媒を用いた報告例はなく、多核活性点の意図的創製が触媒性能を著しく向上させた初めての例である。
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Research Products
(5 results)