2007 Fiscal Year Annual Research Report
金属酵素による小分子変換反応を範とする高効率錯体触媒反応の開発
Project/Area Number |
18065005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
溝部 裕司 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 教授 (40175609)
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Keywords | 金属-スルフィドクラスター / 窒素配位クラスター / 窒素固定 / DFT計算 / 小分子活性化 / モリブデン錯体 / テトラホスフィン錯体 / ヒドラジン |
Research Abstract |
1. 金属-スルフィドクラスター[(Cp*Ir)_3{Ru(N_2)(TMEDA)}S_4](Cp:η^3-C_5Me_5,TMEDA=Me_2NCH_2CH_2NMe_2)の合成単離に成功した。本化合物は、窒素分子を配位した安定な金属クラスターの最初の例であり、従来知られている各種遷移金属を含む窒素錯体と比べ、スルフィド架橋多核構造を有する、より優れた生体内酵素エトロゲナーゼモデルである。 2. 新規なスルフィド架橋三核クラスター[(Cp*Ir)_2{Mo(CO)_3}(S_2)]を単離し、そのモリブデンサイトの各種小分子に対する反応性や酸化還元挙動を明らかにした。本研究は、この三核クラスターを窒素固定に利用するための基礎研究である。 3. 生体内窒素固定酵素活性部位で鉄が重要な働きをしていることに鑑み、反応サイトに鉄を含むFeIr_3S_4キュバン型クラスターを合成し、その構造の詳細を明らかにした。そして、その鉄サイトにおける窒素分子の配位活性化能について、DFT計算により考察した。 4. 当研究室で開発した鎖状テトラホスフィンmeso-o-C_6H_4(PPhCH_2CH_2PPh_2)_2(P4)を有するモリブデンおよびタングステン0価錯体についてベンジルハライドと反応させることで、2価ジハライド錯体[MX_2(P_4)]が得られることを見出した。そしてこれら錯体がジアゾアルカンと反応して、新規なジアゾアルレカン錯体を与えることやジアゾアルカン由来のカルベンのカップリングを触媒することを明らかにした。また、[MoCl_2(P_4)]とCO、イソニトリル、アセチレンなどとの反応についても検討を行い、様々な構造を有する6配位または7配位Mo(II)錯体の単離同定に成功した。一方、一連の置換ヒドラジンとの反応では、N-N結合切断反応が容易に進行し、新規なニトリドおよびイミド錯体が誘導できた。また得られた錯体上のニトリド窒素およびイミド窒素原子の反応性の詳細も明らかになった。
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Research Products
(4 results)