2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18065007
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
碇屋 隆雄 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (30107552)
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Keywords | 均一系触媒 / 不均一系触媒 / 触媒・化学プロセス / 有機工業化学 / 合成化学 |
Research Abstract |
本年度は、それぞれの課題を早期に立ち上げ、研究目的に記した2課題について集中的に検討した。 その結果、 1)塩基複合効果を有する多機能分子触媒による革新的な不斉触媒反応の開発 光学活性ジアミン配位子を有する協奏機能分子触媒において、触媒活性種であるアミド錯体のブレンステッド塩基性やアミンヒドリド錯体のヒドリド性あるいは求核性が、中心金属や配位子の微妙な修飾により精密に制御できることに着目して、電子供与性のP-Nキレート配位子を有する協奏機能触媒によるケトンやエポキシド類より極性の高い環状イミド類の水素化反応を検討した結果、イミド類の一方のカルボニル基が選択的に水素化され対応するアミドアルコール類を収率良く与えることを見いだした。さらに不斉触媒を用いることでプロキラルなグルタルイミド類の非対称化を伴う不斉水素化により、対応するキラルアルコールを最高99%eeで収率良く与えることを見いだした。この水素化生成物は抗うつ剤パロキセチンの鍵中間体として利用でき、比較的短工程の効率の良い新規合成プロセスとなりうる。 2)多機能分子触媒系による水やメタンなどの単純分子の変換反応の開発 多機能アミド錯体の塩基性を利用して、活性化されていないメタンなどの炭化水素の炭素-水素結合の活性化と二酸化炭素との固定化反応の可能性を探索する目的から、金属-炭素結合を有する新たな有機金属化合物を合成して、その性質を調べた。その結果、得られる有機金属化合物は熱的にも安定であり、二酸化炭素との反応性は乏しいものの、配位子の電子状態を制御することで酸性化合物と反応性を示すことがわかった。炭素-炭素結合生成における金属-炭素結合を有する化学種の関わりについてさらに検討する。
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