2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18065007
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
碇屋 隆雄 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (30107552)
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Keywords | 均一系触媒 / 不均一系触媒 / 触媒・化学プロセス / 有機工業化学 / 合成化学 |
Research Abstract |
本年度は研究目的に記した3課題について集中的に検討した。その結果、 1. 塩基複合効果を有する多機能分子触媒による革新的な不斉触媒反応の開発 P-Nアミン配位子を有する協奏機能分子触媒が極性不飽和化合物であるカーバメートやラクトン、エステル類の水素化反応に有効であり、対応する水素化生成物、アミン、アルコール、ジオール類が効率よく得られることがわかった。化学量論量の金属水素化物による還元反応に代替可能な環境調和型還元反応として有望である。協奏機能触媒の新たな機能開発に成功した。 単核の酸塩基複合効果を基盤とする協奏機能触媒の概念を二核錯体へ展開して、イミド架橋の二核Ru, Rh, Ir錯体の合成に成功した。特に、二核のRh錯体は水素やアルコールを活性化してアミド架橋錯体を与え、さらにこのアミド錯体が酸素と反応してイミド錯体へ戻る可逆過程を見いだした。この可逆的なイミドーアミド錯体間の相互変化を使って酸素の触媒的水素化反応による水の生成を見いだすことができた。酸素と水素から触媒的な水生成反応としてエネルギー変換の観点から興味深い結果である。 2. 多機能分子触媒系による酸素などの単純分子の変換反応の開発 協奏機能を有するアミドおよびヒドリド錯体が酸素と可逆的に反応することに着目して、二級アルコール類の酸素雰囲気下における速度論分割によりキラルアルコール類が高い光学純度で収率よく得られたことを見いだした。さらに、より効率の良い空気酸化反応に活性を示す炭素-窒素キレート配位子を有する新たな触媒の開発に成功した。 3. 二酸化炭素の有用化合物への固定化反応の開発 二酸化炭素とアミン化合物が可逆的にカルバミン酸を与えることを利用してカルベン化合物を触媒とする分子内ウレタン生成による環状化合物が効率よく生成することを見いだした。二酸化炭素が反応場となり、さらに反応基質になる高効率固定化反応である。
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Research Products
(15 results)