2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18065007
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
碇屋 隆雄 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (30107552)
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Keywords | 均一系触媒 / 不均一系触媒 / 触媒・化学プロセス / 有機工業化学 / 合成化学 |
Research Abstract |
金属/NH結合の結合性に由来する酸塩基複合効果を基盤とする協奏機能分子触媒の概念の確立とともに、触媒構造修飾や中心金属の選択により触媒機能拡張と一般性の実証に成功した。具体的に、 1.分子触媒構造と協奏機能の精密制御による実用的触媒反応の開発 キレートアミンN-N、P-N型配位子を有するCp*ルテニウム錯体が、水素移動型還元と水素化の双方の触媒活性を有することが分かった。実際、環状酸イミドやアシルカーバメートに加えてエステルやアミド化合物などの難水素化化合物である極性不飽和化合物の触媒的水素化反応の開発に成功した。また、アミンキレート配位子としてC-N配位子をもつヒドリド錯体が酸素を水素受容体とするアルコール類の酸素酸化触媒となることを見いだした。キラル触媒を用いると、ラセミアルコールの空気酸化による速度論分割が可能である。 2.二核協奏機能分子触媒の機能開拓 金属/NH結合部位に基づく協奏機能触媒の概念を、複数金属システムに展開した結果、スルホニルイミド架橋二核ロジウム錯体が水素分子およびアルコールの酸素酸化反応の触媒となることがわかった。ブレンステッド塩基性スルホニル酸素原子と、二核ロジウム中心の酸化還元と連動したヒドリド配位子の極性転換が鍵段階となっていることを明らかとした。 3.二酸化炭素の有用化合物への固定化反応の開発 NHCカルベンの二酸化炭素活性化能を利用して二酸化炭素とプロパジルアルコールやエポキシドとの反応による環状カーボネートの合成反応の開発に成功した。協奏機能触媒と超臨界二酸化炭素との融合による新たな反応開発の成功例である。 4.予算の繰り越しにより、23年度には、キラルジアミン(TsN-N)錯体による不斉Michael反応の詳細な反応機構の解明に成功した。詳細なNMR研究とDFT解析の成果として評価できる。
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