2008 Fiscal Year Annual Research Report
金属-金属結合を構造モチーフとしない非クラスター型多核金属錯体に関する研究
Project/Area Number |
18065009
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
穐田 宗隆 Tokyo Institute of Technology, 資源化学研究所, 教授 (50167839)
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Keywords | 金属-金属結合 / 多核金属錯体 / クラスター化合物 / 太陽光エネルギー / フタラジン / 共同作用 / 触媒反応 |
Research Abstract |
金属-金属結合を構造モチーフとしない非クラスター型多核有機金属錯体について多金属種による触媒効果発現原理の解明とともに新触媒反応系開発に焦点をあてて、本年度は以下の二つのテーマについて研究を実施した。 太陽光捕集Ru部位と触媒機能発現Pd部位をビピリミジン配位子(L)で架橋した二核錯体[(bipy)_2Ru(μ-L)Pd(Me)(NCMe)]^<3+>を用いるとオレフィン類の光触媒的二量化反応が進行するので、この反応をプローブとして反応機構解明ならびに触媒活性のチューニングを行った。その結果、二番目の基質が挿入する段階が光照射によって促進されること、Ru部分からPd部分へ効率的なエネルギー移動を起こさせるためにはRu部分に電子供与性置換基を、ビピリミジン部分に電子求引性置換基を導入することが有効であり、このことをDFT計算によって明らかにした。 金属中心の共同作用を利用する基質活性化に向けて、中心部分にピラゾレートを含む二核化PNNP型配位子について研究を行っているが、今年度はピラゾール間とリン原子の間のアルキレン鎖をエチレン鎖にした誘導体を合成し、これまで合成してきた誘導体と構造及び反応の特性を比較して、金属間距離及び金属上の電荷の効果について調査した。その結果、同じ金属(Rh)を用いても金属間距離に応じて配位子の配位構造が異なること、また陽イオン性が高い種の方が取り込み活性が高いことを明らかにした。この結果を応用すると配位子と金属の相互作用を調整することが可能となるため、触媒反応活性の理解につながるので、最終年度は新触媒反応開発に重点を置いて研究を進める。
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