2007 Fiscal Year Annual Research Report
カルコゲン架橋二核骨格をもつ酵素活性中心モデル錯体の合成と触媒機能
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18065013
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 剛 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 助教 (50311717)
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Keywords | 複核金属錯体 / チオラート / アセチルCoA合成酵素 / ニッケル錯体 / アセチルチオエステル / 協同作用 / 炭酸固定 / 酵素モデル |
Research Abstract |
天然に存在する金属酵素には、複数の金属を協同作用によって興味深い有機金属的触媒反応を担うものが数多く知られている。我々は、基質の還元反応に関与する還元系金属酵素に注目し、それらのモデル構築と反応機構解明を行うとともに、触媒的応用をめざして研究を進めている。H19年度はニッケル二核錯体を活性中心にもつアセチル-CoA合成酵素にも注目し、その関連の研究を推進した。 アセチルCoA合成酵素(ACSと略)は、CO_2から合成されるCO、コバラミン由来のメチル基、およびチオール化合物であるCoAからアセチル-CoAを合成する酵素であり、自然界における炭素固定を担う重要な金属酵素である。我々はACS活性中心に存在する二核ニッケル部位に注目し、そのモデル構築を検討した。N2S2型のキレート配位子として、ジアニオン性のジアミン-ジチオラート配位子dadt^<Et>(dadt^<Et>=N,N'-diethyl-3,7-diazanonane-1,9-dithiolate)を用いた研究を引き続き進める一方、テトラアニオン配位子であるジカルボキシアミド-ジチオラートmbpa(H_4mbpa=[N,N'-(3-mercapto-3-methylbutyryl)-o-phenylenediamine])を持つニッケル錯体を出発物質とし、これにもう1分子のニッケル錯体を導入することによって目的とするニッケル二核錯体の合成を行った。またdadt^<Et>配位子を有する二核ニッケル錯体にメチル基とチオラートを導入し、これにCOを作用させると、ACSモデル反応が進行することを見いだした。これは酵素活性中心と同様のチオラート架橋二核ニッケル錯体を用いたACSのモデル反応の初めての例である。
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