2009 Fiscal Year Annual Research Report
カルコゲン架橋二核骨格をもつ酵素活性中心モデル錯体の合成と触媒機能
Project/Area Number |
18065013
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 剛 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 助教 (50311717)
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Keywords | 複核金属錯体 / チオラート / アセチルCoA合成酵素 / ニッケル錯体 / アセチルチオエステル / 協奏機能 / 炭酸固定 / 酵素モデル |
Research Abstract |
金属酵素には、複数の金属やヘテロ原子が協奏的に働いて、興味深い小分子活性化を行うものがいくつも知られている。我々は、基質の還元反応に関与する還元系金属酵素に注目し、それらのモデル構築と反応機構解明を行うとともに、触媒的応用をめざして研究を進めている。今年度は、前年度に明らかになった還元状態のアセチル-CoA合成酵素(ACS)モデル錯体を用いたモデル反応をより詳細に検討した。N_2S_2型のキレート配位子としてdadt^<Et>(dadt^<Et>=N,N'-diethyl-3,7-diaza-nonane-1,9-dithiolate)を有するNi(II)-Ni(0)二核錯体が、メチルコバラミンのモデル化合物であるメチルコバロキシムからメチル基を引き抜き、チオラート、COと順次反応してアセチルチオエステルを与えるとともに、活性種であるNi(II)-Ni(0)二核錯体を再生することを見いだしてきたが、これを利用して触媒サイクル構築を検討した。過剰のシクロオクタジエン存在下、Ni(II)-Ni(0)錯体Ni(dadt^<Et>)Ni(cod)にメチルコバロキシムとチオラートを作用させるとNi(dadt^<Et>)Ni(Me)(SR)が生成した。これにCOを1当量加えると、アセチルチオエステルの生成に伴ってNi(dadt^<Et>)Ni(cod)が再生することがわかった。従って、実際の酵素においてもNi(II)/Ni(0)を利用した酸化的付加/還元的脱離によって触媒反応が進行していると考えられる。また、Ni(II)-Ni(I)モデル錯体とメチルコバラミンも同様に反応することがわかったが、この場合には1電子供与体が別途必要となり、Ni(I)/Ni(II)のサイクルで反応を触媒的に進行させるのは困難であることがわかった。
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Research Products
(21 results)