2006 Fiscal Year Annual Research Report
均一系分子触媒による有機ホスフィンの新規合成法の開発とその新触媒創製への利用
Project/Area Number |
18065014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大嶌 幸一郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (00111922)
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Keywords | ホスフィン / ヒドロホスフィン化 / 1-アルキニルホスフィン / 二座配位子 |
Research Abstract |
有機ホスフィンは、有機合成の反応剤、遷移金属錯体の配位子、有機材料として用いられ、有機化学において重要な役割を果たしている。なかでも、(Z)-1,2-ジホスフィノ-1-アルケンは配位子として有用な化合物と考えられる。しかしながらその簡便で効率の良い合成方法はほとんど知られていない。そこで我々は、1-アルキニルホスフィンにヒドロホスフィンをトランス付加させることができれば(Z)-1,2-ジホスフィノ-1-アルケンの高効率合成になると考え研究に着手した。その結果、目的の反応を開発することに成功した。触媒量のヨウ化銅と炭酸セシウム存在下N,N-ジメチルホルムアミド溶媒中1-オクチニルジフェニルホスフィンに対してジフェニルホスフィンを室温で作用させると、(Z)-1,2-ビスジフェニルホスフィノ-1-オクテンがほぼ定量的に得られた。非プロトン性極性溶媒が本反応では有効であった。同様の反応をジメチルスルホキシド、THF、エーテル溶媒中で行うと、生成物の収率はそれぞれ94%、62%、0%となった。興味深いことに含水DMF中でも本反応は進行し、82%の収率で生成物を得ることができた。塩基としては炭酸セシウムが最も有効であり、炭酸カリウムやトリエチルアミンを用いると収率は極めて低収率に留まった(<20%)。遷移金属触媒としてはヨウ化銅が最も高活性であった。ニッケルやパラジウム、白金、コバルトなどの他の遷移金属触媒ではほとんど活性が認められなかった。
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Research Products
(3 results)