2009 Fiscal Year Annual Research Report
金属酵素を範とした有機・無機ハイブリッド触媒の開発
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18065018
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| Research Institution | Kyushu University |
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Principal Investigator |
久枝 良雄 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 教授 (70150498)
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| Keywords | ビタミンB12 / ハイブリッド触媒 / コバルト錯体 / 光増感反応 / 人工酵素 / 二酸化チタン / 二量化反応 / 有機ラジカル |
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| Research Abstract |
金属酵素は環境適合型の理想的な触媒系の1つであり高活性・高選択的であるが、構造安定性に欠けるという欠点を持ち、応用範囲が狭い。そこで本研究では、天然酵素に学び、協奏機能を活用した新しい有機・無機ハイブリッド触媒の開発を行っている。すなわち、ナノ空間材料と金属錯体等の組み合わせにより、天然酵素を凌駕する機能をもつ触媒系を開発し、革新的触媒の発見を目指している。本年度は、光増感剤とビタミンB_<12>誘導体の協奏機能を利用した物質変換システムについて検討し、以下のような新規の物質変換反応に成功した。
1) 二酸化チタンとビタミンB12の組み合わせによる有機・無機ハイブリッド触媒を構築し、種々の物質変換反応に成功した。これらの反応機構を詳細に検討し、光により活性化された酸化チタンの励起電子によりビタミンB12誘導体が還元活性化し、ハロゲン化物と反応してコバルトー炭素結合を生成し、その開裂により生成物を与えることを見出した。この反応系は、従来のスズ化合物を用いたラジカル反応の代替となることを提案した。
2) 分岐高分子にビタミンB12誘導体を導入したB12-ハイパーブランチポリマー(B12-HBP)を合成した。このB12-HBPでは、B12誘導体が高密度に集積しているので、特異的なラジカル二量化反応触媒として働くことを見出した。
3) 嫌気性微生物の代謝系である脱塩素化呼吸を範とし、有機色素増感剤とビタミンB_<12>誘導体からなる貴金属フリー可視光駆動型脱ハロゲン化システムを構築した。光増感剤としてローズベンガルを用いた。本システムは、脱塩素化呼吸における電子伝達系の単純化アナロジーであり、DDT関連化合物や消毒副生成物などの環境汚染物質の効率的な分解反応や有機ラジカル反応を利用した物質変換反応に適用できることを見出した。
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