2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18066001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武次 徹也 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (90280932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野呂 武司 北海道大学, 大学院理学研究院, 助教授 (50125340)
中山 哲 北海道大学, 大学院理学研究院, 助手 (10422007)
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Keywords | 第一原理分子動力学法 / 光化学 / 解離性再結合反応 / 励起プロトン移動 / QM / MM分子動力学 / Effective Fragment Potential / スチルベン光異性化反応 / 溶媒効果 |
Research Abstract |
本年度は、多配置波動関数に基づく全自由度を考慮したab initio分子動力学シミュレーションにより、シス-スチルベンの初期の励起ダイナミックスを追跡した。まずシス-スチルベンの基底状態に対し、C_2点群の下MP2/DZPレベルで構造最適化ならびに基準振動解析を行い、得られた構造に対してSA-CASSCF法により励起状態の計算を行った。その結果、遷移強度の大きい電子状態はHOMO-LUMO1電子励起の2B状態で、その下にフェニル基部分の励起が複数寄与した多配置性の強い2A,1Bの2つの状態が存在することがわかった。分子動力学計算において、シス-スチルベンを2Bに垂直励起させて古典トラジェクトリーを走らせたところ、最初に中央のHCCH部分とフェニル基部分の歪みが解消される運動を示し、その後中央CC結合周りの回転が始まる。10fsの間に分子系は2B-1Bの非断熱領域に到達し、1Bへと遷移した後、さらに15fs経過したところで1B-2Aの近接領域に到達した。この領域で2A状態に遷移してシス-トランスの中間の構造付近で激しい振動運動を示した。励起ダイナミックスにおける溶媒効果を議論するために、QM/MM法に基づくab initio分子動力学法のプログラムを開発し、7-azaindole(7AI)+H_2O系の励起プロトン移動に適用した。7AI+H_2O系に対して、7AI-H_2O,7AI-(H_2O)_2および各系の周囲にEFPとして表された100個のH_2Oを配置した状態に対して動力学計算を行った。7AI-H_2Oではnormal型からtautomer型に変化することで生じる余剰エネルギーにより7AIとH_2Oは解離し、解離した7AIにおいては面内骨格振動が激しく励起された。また、溶媒効果によりプロトン移動の障壁は下がり、ダイナミックスにおいても反応は促進されるととが示された。
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Research Products
(7 results)