2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18066001
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武次 徹也 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (90280932)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野呂 武司 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (50125340)
中山 哲 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (10422007)
|
Keywords | 第一原理分子動力学法 / 光化学 / 7-azaindole / 励起プロトン移動 / QM / MM分子動力学 / Effective Fragment Potential / 溶媒効果 / DNA塩基対モデル |
Research Abstract |
本年度は気相中、および溶液中における7-azaindole(7AI)光異性化反応の励起状態ダイナミクスに注目し、Effective Fragment Potential(EFP)を用いたAIMDシミュレーションを行った。溶液内光反応のAIMDシミュレーションを可能にするためにQM/MM法を利用した。QM/MM法を実装したAIMD法では、反応に関与する溶質・溶媒分子の電子状態は量子力学的に取り扱い、反応に関与しない周囲の溶媒分子は分子力学的に取り扱うことにより溶媒効果をあらわに考慮したダイナミクスを調べることができる。7AIはDNA塩基のモデル分子であり、気相中や溶液中において光励起されると五員環上のN原子から六員環上のN原子へプロトンが移動し異性化することが知られている。水溶液中と気相中での水クラスターのプロトン移動反応の挙動の違いを調べるために、気相中、水溶液中での反応を想定した7AI-(H_2O)_n(n=1,2)クラスターのAIMDシミュレーションを行い、結果を比較した。7AI-(H_2O)_n(n=1,2)の初期構造は基底状態安定構造とし、初速度は7AI-(H_2O)_nの二つの基準振動モードに2〜3量子数に相当する運動エネルギーを与えた。水溶液中を想定したシミュレーションの溶媒の初期条件は、電子基底状態の7AI-(H_2O)_n(n=1,2)クラスターの周りにEFPで表した100個のH_2O分子を配置し、温度300KとなるようにAIMD計算を行って決定した。プロトン移動後、異性化に伴う安定化エネルギーが運動エネルギーに変換されることにより、クラスターを形成していた水分子は7AIから離れて行く様子が見られた。溶媒分子の初期配置を変えた数本のトラジェクトリーから、プロトン移動は溶媒の配向によって変化する様子が示された。
|