2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18066001
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武次 徹也 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (90280932)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野呂 武司 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (50125340)
中山 哲 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (10422007)
|
Keywords | 第一原理分子動力学法 / 光化学 / クマリン151 / 励起プロトン移動 / QM / MM分子動力学 / Effective Fragment Potential / 溶媒効果 / AIMD計算 |
Research Abstract |
溶液内光反応をターゲットとするQM/MM-AIMDプログラムを開発し、水溶液中におけるクマリン151(C151)の光緩和過程のダイナミクスを調べた。QM/MM法を実装したAIMD法では、反応に関与する溶質・溶媒分子の電子状態は量子力学的に取り扱い、反応に関与しない周囲の溶媒分子は分子力学的に取り扱うことにより溶媒効果をあらわに考慮したダイナミクスを調べることができる。QM/MM法の一つとして、多極子展開に基づくEffective Fragment Potential(EFP)法が提案され、量子化学プログラムパッケージGAMESSに実装されている。C151に対し、孤立気相中および水溶液中の条件下、CASSCFレベルで励起状態のAIMD計算を行った。水溶液中のシミュレーションでは、C151の周りに150個の水分子(EFP)を配置した。孤立気相中および水溶液中ともに電子基底状態において300Kの温度下で10psのAIMD計算(RHF/DZPレベル)を行うことにより初期条件を定めた。孤立気相中のAIMD計算から、C151は非極性溶媒中では双極子モーメントの大きな構造Iに近い円錐交差を経由して無輻射遷移を起こすことが示された。無輻射遷移には-NH_2基の傘反転運動が関与していることが分かった。また、EFPを用いた水溶液中のAIMD計算では、溶媒効果によりS_0とS_1状態の分子内電荷分布が近くなり、二つのポテンシャル曲面は似た形となるため、無輻射遷移が起こりにくくなることがわかった。これらの結果は、実験で報告されている反応の特徴を合理的に説明するものである。
|
Research Products
(4 results)