2007 Fiscal Year Annual Research Report
複合電子系の柔軟性による非線形光学物性の発現機構と分子設計
Project/Area Number |
18066010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 雅由 Osaka University, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (80252568)
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Keywords | 非線形光学 / 超分極率 / 開殻分子 / ジラジカル / abinitio 法 / 密度汎関数法 / 磁気的相互作用 / フェナレニルラジカル |
Research Abstract |
一重項ジラジカル分子の実在モデルとして中央に複素環、両端にフェナレニルラジカルを含有する縮環化合物を検討し、中央分素環の中心原子を換えることにより中央複素環の芳香属性を調節することで全系のジラジカル因子を0から1近くの範囲でコントロールし、第二超分極率の大きさを一桁以上の幅で変化させることに成功した。また、両端のフェナレニル環にドナー基を導入することで双性イオン構造の寄与を増大させジラジカル性を顕著に減少させγ値を制御することにも成功した。これらの結果から、ジフェナレニル化合物の化学修飾によるジラジカル性の制御とそれに基づくγの制御の見通しがたった。また、π共役架橋をもつジフェナレニル化合物においてドナー、アクセプター基を導入した中間ジラジカル性をもつ非対称電荷分布系において更なるγの増大と第一超分極率βの増大を高精度量子化学計算による予測した。これにより、我々の設計指針は2次の非線形光学特性にも有効であることが期待される。これら中間ジラジカル性をもつ系の非線形光学応答を精度よく計算できる方法として、スピンフリップ法に基づく有限場法を行い、高精度電子相関手法との比較からその高信頼性と大規模系への適用性の高さを明らかにした。ジラジカル系の非線形光形特性のジラジカル因子依存性と磁気的特性依存性を明らかにするため、2電子2軌道系のvalenceCI法を行い、γの解析式を導出し、ジラジカル因子との関係の起源を明らかにした。その結果、基底状態の磁気的相互作用(有効交換積分J)との関係も明らかになり、さらなるγの増大を与える新領域(基底状態で強磁性的相互作用をもつ系の中間ジラジカル性を示す励起-重項状態)の存在を理論的に予測した。現在、具体的な物質系でこの領域に属する系を探索中である。
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Research Products
(50 results)