2008 Fiscal Year Annual Research Report
複合電子系の柔軟性による非線形光学物性の発現機構と分子設計
Project/Area Number |
18066010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 雅由 Osaka University, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (80252568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 亮平 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教 (90452408)
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Keywords | 非線形光学 / 超分極率 / 開殻分子 / ジラジカル / ab initio法 / 密度汎関数法 / 磁気的相互作用 / フェナレニルラジカル |
Research Abstract |
本年度は、新しい開殻一重項分子系として金属含有系の一つである遷移金属o-セミキノネート錯体を含む新しいジラジカル分子骨格の提案と探索を行った。これらの系は、従来、閉殻構造で取り扱われてきたが、近年、開殻一重項状態をもつものが理論的に予測され、その電子構造が明らかになりつつある。我々は、Ni核の系の配位子を様々に変化させ、そのジラジカル因子を制御できることを見出し、その機構解明を行った。様々なジラジカル性をもつこれらの系の第二超分極率γを計算し、中間ジラジカル性において閉殻および完全開殻系に比べて顕著な増大(一桁〜二桁)を示すことを見出した。さらに金属核を変えたものについても検討を開始している。ジフェナレニルラジカル分子からなる一次元分子集合体もモデルとして二量体や三量体における分子間相互作用の平均ジラジカル因子やNLO物性への効果の解明を行い、閉殻系からなる集合体に比べて、相互作用によるモノマーあたりのγの増大率が大きくなるごとを予測した。現在、遷移金属o-セミキノネート錯体のクラスターに関しても検討を開始している。Ab initio MOを用いた量子マスター方程式法に基づいて外部電場に対する動的応答特性を求める方法論の定式化を行い、短鎖の通常ポリエン、ドナー/アクセプター置換ポリエン、荷電ソリトン鎖、中性ソリトン鎖について動的分極率とその動的な電子-ホールの空間分布の変化を明らかにした。この新たに開発した方法は、(超)分極率密度解析の動的描像を与え、静的な応答量だけでなく、共鳴領域も含めた動的応答量にも適用でき、また寄与を軌道分解することも可能であるので、今後、開殻系への拡張、超分極率への適用等も含めて開発を行う予定である。
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Research Products
(53 results)