2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18066013
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉澤 一成 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 教授 (30273486)
|
Keywords | 量子化学 / 酵素反応 / 生体分子 / 密度汎関数法 / 分子力学 / 電子輸送 |
Research Abstract |
メタンは極めて強いC-H結合(104kcal/mol)、構造の高対称性に起因する双極子モーメントの欠如、および低い酸性度と塩基度などに由来して極めて反応性に乏しい炭化水素といえる。従って、メタンをはじめとする不活性アルカンの化学修飾は現代化学の目指す最重要課題のひとつに数えられている。このメタンを常温・常圧でメタノールへと変換する驚異的な酵素がメタンモノオキシゲナーゼ(MMO)である。MMOはメタンを唯一のエネルギー源あるいは炭素源とするメタン資化細菌に含まれる金属酵素である。最近、pMMOのX線構造解析が解かれ、単核銅、二核銅および単核亜鉛からなる3つの金属活性点を持つことが明らかとなった。この酵素も常温常圧下でメタンをメタノールに転換するため、そのC-H結合活性化どの金属サイトで起こるのかについて考察することは興味深い。本研究では、二核銅酸素錯体の電子状態とメタンとの反応性について密度汎関数計算により理論的に考察した。その結果、Cu(II)Cu(III)のジオキソ状態は比較的容易にメタンのC-H結合を活性化できる。これに対して、Cu(III)Cu(III)のジオキソ状態は閉殻構造であるためにC-H結合に対する反応活性が低く、ラジカル的にC-H結合を解裂できない。計算から求めた反応のエネルギーダイヤグラムからは、Cu(II)Cu(III)のジオキソ状態の方がより高い活性状態にあることが予想される。
|