2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18066013
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉澤 一成 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 教授 (30273486)
|
Keywords | 量子化学 / 化学反応 / 密度汎関数法 / 酵素 / 量子輸送過程 |
Research Abstract |
本研究では生体内の化学反応と電子輸送過程の理論的研究を行った。生体系における電子移動反応は酵素反応において極めて重要な役割を果たしている。最近、単一分子からなる分子ワイヤーのコンダクタンスに関する研究が注目を集めている。一次元系のコンダクタンスを与えるLandauerの理論がナノスケール領域における電気伝導理論として用いられ、ナノサイズ分子特有の伝導現象を示す分子ワイヤーのI-V特性などが再現されている。ここでは、量子化学の重要な概念である軌道理論から分子ワイヤーのコンダクタンスについて議論した。分子における電子の輸送にはフロンティア軌道の振幅と位相が決定的な役割を果たすことを示した。これらを密度汎関数法による定量的な計算結果と比較し、定性的な軌道の議論が普遍的に成り立つことを明らかにした。単一分子の量子輸送過程とフロンティア軌道の関係をさらに深く理解するため、東大と阪大の実験グループとの連携の下に共同研究を行っている。この結果は、Journal of the American Chemical Societyに公表された。その他に金属酵素や触媒に関連する理論的研究を行った。
|
Research Products
(17 results)