2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18066014
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
本間 健二 University of Hyogo, 大学院・物質理学研究科, 教授 (30150288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下條 竜夫 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 准教授 (20290900)
松本 剛昭 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 助教 (30360051)
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Keywords | 交差分子線 / 気相反応ダイナミクス / 酸化反応 |
Research Abstract |
気相遷移金属原子の反応の特徴は複数の電子状態の関与である。本研究では,複数の電子状態ポテンシャル面が関与する反応系において、電子状態を選別した反応を観測することで、反応を支配すポテンシャル面の間の作用の実態を解することが目的である。 本年度は、交差分子線反応装置を用いて以下の反応について測定を行い機構の解明を行った。 Si(a^3P_I)+O_2→SiO(X)+O(^3P_J,^1D_2) この反応には1重項と3重項のポテンシャル面が関与することが期待される。本研究では、SiO分子のレーザー誘起ケイ光スペクトルを解析することで、SiO分子の振動状態分布を決定した。また、3重項ポテンシャル面による生成物であることが確実なO(^3PJ)についてそのスピン-軌道状態分布を決定した。その結果、SiOの振動分布はv=4付近にピークを持つもので、1重項ポテンシャル面を進んだ場合で引き抜き反応が起こった場合を反映していることが明らかになった。また、1重項の経路ではエネルギー的に説明のつかない高い振動励起状態の生成も確認され、O(^3P_J)の生成と共に、3重項ポテンシャル面の寄与もはじめて示唆された。 O(^3P_J)のスピン-軌道状態は非統計的な分布が観測され,反応の出口付近で1重項ポテンシャル面と3重項ポテンシャル面が相互作用して、最終生成物の分布を決めている反応機構が示唆された。 更に,本年度はこれまでのレーザー誘起ケイ光スペクトルによる生成物の観測だけではなく、レーザー多光子イオン化法を適用し、生成物の角度・速度分布を決定するための予備的な測定も開始した。上記のSi酸化反応によるSiO、Ti原子の酸化反応によるTiOなどの検出に成功したが、O原子の検出にはまだ、感度が不足しており、更に改良が必要である。
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