2007 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー散逸を伴う電子ダイナミックスの理論と材料物性
Project/Area Number |
18066019
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
信定 克幸 Institute for Molecular Science, 理論・計算分子科学研究領域, 准教授 (50290896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安池 智一 分子科学研究所, 理論・計算分子科学研究領域, 助教 (10419856)
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Keywords | 電子ダイナミックス / 量子散逸 / 電子数揺らぎ / 電子的コヒーレンス |
Research Abstract |
電子ダイナミックスを実時間・実空間領域で直接的に解析するための数値計算手法を時間依存密度汎関数理論に基づいて開発した。昨年度に引き続きリング状分子に対して円偏光レーザーパルス光を照射したときの電流発生のメカニズムとこの円電流発生に伴う磁気モーメントの誘起に関する理論的・数値計算的解明を行った。その結果、レーザーパルス光による共鳴励起を使うと、非常に効率的に電流を発生させることができ、光誘起電流は電場に対する二次の非線形光学応答過程であることが分かった。レーザー光による超高速かつコヒーレントな電流の制御も可能であると考えられる。 表面吸着分子系の電子物性や電子ダイナミックスをミクロレベルで理解するために、吸着系と表面の間で起こる電子エネルギー散逸の効果を考慮に入れた新しいクラスターモデル理論の開発を行った。このクラスターモデルにおいては表面吸着原子系を有限サイズのクラスターで近似しているが、クラスターの端において適切な境界条件を課すことで半無限系であるはずの表面を正しく記述することに成功した。また、吸着系から表面への電子移動速度を見積もることにも成功した。 チオラート分子によって保護された様々な金クラスターを対象として、その電子構造と光学的性質の解明を行った。最近の実験によると、金25個から成るクラスターにチオラート分子18個が結合したクラスターは特異的に安定であることが報告されているが、その安定性の起源を理論的に解明した。
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