2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18066020
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
岡崎 進 分子科学研究所, 計算分子科学研究系, 教授 (70194339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 伸一 分子科学研究所, 計算分子科学研究系, 助手 (10282865)
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Keywords | 分子動力学法 / 自由エネルギー / 球状ミセル / マイクロエマルジョン / 付加反応 / プロトン移動 / 量子古典混合系近似 / 量子効果 |
Research Abstract |
水中に生成されるミセルの中で、イオン性の両親媒性分子であるSDS分子約60個により安定に形成される球状ミセルに注目し、この球状ミセルの構造安定性が分子レベルでどのように実現されているかについて詳細に検討した上で、この球状ミセルの疎水殻中への物質の取り込み、つまり、第二の溶質分子のミセルへの付加反応について、分子動力学法に基づいた理論計算により自由エネルギーレベルでの検討を行った。 平成18年度は、特に溶媒である水分子そのものの疎水殻への取り込みについて、熱力学積分法に基づいた自由エネルギー計算からバルク中から疎水殻中への水分子の移動に伴う自由エネルギー変化を求めた。 その結果、疎水殻中への移行の自由エネルギーは大きな正の値をとり、概ね80,000個に1個のミセルが水分子を取り込むことが明らかとなり、事実上、水分子は疎水殻中に浸入しないことを示した。 このような研究を通じて、ミセルの疎水殻中に多数の分子が取り込まれる場合、あるいは親水殻表面上に吸着される場合等においても、このような自由エネルギー計算に基づいた解析は極めて有効であることも示され、19年度以降に計画している様々な物質に対するマイクロエマルジョン形成、可溶化等に研究を展開するための基盤を確立した。 一方で、プロトン移動反応など溶質の量子効果が無視できない系に対するシミュレーション手法を確立するために、量子古典混合系近似を用いた量子力学的運動方程式を化学反応系に対して導出し、モデル系に対する計算を行い、有効性を確認した。
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Research Products
(1 results)