2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18066020
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡崎 進 Nagoya University, 工学研究科, 教授 (70194339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 篤志 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (10390676)
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Keywords | 分子動力学法 / 自由エネルギー / 量子ダイナミクス / ミセル / プロトン移動 |
Research Abstract |
零点振動など量子化された振動状態やトンネル移動などの状態間遷移といった反応における核の量子性を取り入れた計算科学的研究を可能とするために、凝縮系における核の量子ダイナミクスに対するシミュレーションの新規手法の開発を量子古典混合近似を基礎に展開し、これを適用いて溶液中のプロトン移動に対する量子反応過程の描像を得るための準備をこれまでに行ってきた。本年度は、水溶液中におけるマロンアルデヒド分子のプロトン移動反応のシミュレーションを実行し、反応に対する量子効果と溶媒効果に対する分子論的な解析を行った。量子古典混合近似に基づく本シミュレーション手法が量子反応動力学に対する量子性と溶媒効果の解析に有効であることが示された。 一方、可溶化分子を含むミセルの水溶液中における熱力学的安定性を評価することを目指し、メタンからオクタンまでのアルカン分子をバルク水溶液からSDSミセルコアヘ移動する際の自由エネルギー変化を分子動力学法によりこれまでに算出してきており、本年度は、可溶化に伴う熱力学的安定性の微視的描像を得るための分子論的解析を行った。特にミセル中のアルカン分子の分布や、可溶化するアルカンの構造について検討を行った。さらに、ミセルと溶質分子の重心間距離を可溶化の反応座標とした自由エネルギープロフィールの計算手法を確立し、プログラムが完成した。まずは水分子とメタンを溶質に選び計算を行った。今後は十分な統計量をとることにより精度のよい自由エネルギープロフィールが得られる予定である。
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Research Products
(4 results)