2009 Fiscal Year Annual Research Report
量子揺らぎの最適制御による確率的情報処理と情報統計力学
Project/Area Number |
18079001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井上 純一 Hokkaido University, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (30311658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雑賀 洋平 和歌山工業高等専門学校, 電気情報工学科, 准教授 (40280432)
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Keywords | 統計力学 / 確率的情報処理 / 量子揺らぎ / 量子情報 / 量子モンテカルロ法 / スピングラス / レプリカ法 / 情報統計力学 |
Research Abstract |
今年度に得られた最も特筆すべき成果は,量子揺らぎを用いた確率的情報処理の処理過程(動的側面)を調べるため不可欠な量子スピン系(量子横磁場イジング模型)のダイナミックスの解析に対し,量子モンテカルロ法に基づく確率過程で状態更新する系のミクロなマスター方程式から秩序変数などのマクロ量の従う方程式を導出する方法を提案し,無限レンジ強磁性イジング模型,画像復元などに用いられるランダム磁場イジング模型に対してその妥当性を調べた.この方法はスピングラスなどのランダムネスがスピン間結合に現れる数理モデルにも応用できる広汎な拡張性を持っている.上記以外にも 1)少数系および熱力学的極限における量子アニーリングの性能評価 2)ランダムネスを含む無限レンジ量子横磁場反強磁性体模型の相転移の解析 3)金融データの変動時間間隔の待ち行列理論に基づく解析とその実データとの整合性検証 4)動画像処理における移動速度場と確率モデルの同時ベイズ推定方法の提案 5)遺伝的アルゴリズムにより生成される遺伝子配列からのギブス分布の学習 6)BOIDSによる群れシミュレーションにおける異方性の創発現象の検証 7)ゲーム理論に基づくダブルオークション市場の確率モデル に関する研究成果が得られた.1)2)は「深化」軸に関するものであり,3)-7)は「展開」軸についての成果である.4)-7)は指導する大学院生との共同研究であり,特に6)は計測自動制御学会システム・情報部門学術講演会2009(SSI2009)で奨励賞を受賞した(受賞した学生は当時学部4年生).これらのことから,今年度は院生の育成という将来の展開を見据えた意味での成果も得られたことがわかる.
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