2007 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロンのスパイクの揺らぎによる神経回路網の推定
Project/Area Number |
18079003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 真人 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (90233345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三村 和史 広島市立大学, 情報学部, 准教授 (40353297)
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Keywords | 多体問題 / 統計力学 / 神経科学 / BMI / データマイニング |
Research Abstract |
1.個々の神経細胞の発火率を成分とする集団ベクトルに関して,クラスタリングと次元圧縮を同時に行う新しいアルゴリズムを提案した.従来の手法では,主成分分析等を用いてまず次元圧縮を行い.そのつぎにクラスタリング行う.しかしこれでは,重畳されるノイズの分散が大きい場合、ノイズを抽出するように次元圧縮がおこなわれ,クラスタリングすべき次元が捨てられてしまう。そこで,混合分布でよく近似できる部分空間を探しながら,その次元以外を圧縮する手法を提案した. 提案手法を神経の集団ベクトルに適用するとともに,混合ポアソン分布に基づく手法を手書きパターン認識適用した.混合ポアソン分布そのままでも,従来手法の混合正規分布の場合とほぼ同じ認識率をえた.さらに、次元圧縮を同時におこなうことにより認識率が向上することがわかった。 2.HH方程式をよく近似するモデルとしてスパイクレスポンスモデル(SRM)が提案されている.SRMの多体系の平均場近似を提案し,それをもとに二次の相関関数を計算する理論を提案した.その理論をもとに,孤立局在興奮系のフィッシャー情報行列を計算した.従来は,孤立局在興奮系の皮質内結合は情報量を増加させないとされていたが,この理論を用いて,情報量が増加する場合が存在することと証明した.この知見は,計算論的神経科学における常識を覆したという意味で,大変重要な結果であり,今後のこの分野の発展に大きな影響を与える. 3.近年理論神経科学で重要視されている位相応答曲線に関して,SRMから位相応答曲線を導出する理論的枠組みを世界で初めて提案した.SRMは,閾値下の膜電位を記述するカーネル関数κと細胞の不応期を表す関数ηの二種類の関数で記述されている.この理論では位相応答曲線をκとηの二つの関数で陽に書くことができる.
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