2007 Fiscal Year Annual Research Report
不規則系の統計力学と古典および量子情報統計力学の境界領域の開拓
Project/Area Number |
18079005
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西森 秀稔 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (70172715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 増雄 東京理科大学, 理学部, 教授 (80013473)
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Keywords | 量子アニーリング / シミュレーテッド・アニーリング / 収束性 |
Research Abstract |
量子力学の原理を利用した基底状態探索方法の基礎理論の構築を継続した。古典的な汎用最適化法では,古典的ハミルトニアンで表現されるコスト関数が与えられたとき,統計力学の原理に基づき人工的な温度変数を導入することによって状態空間の中の遷移を促し,温度を徐々に下げることによって最適解に到達することを目指す。これに対して,量子力学を利用した量子アニーリングでは,トンネル効果により状態間の遷移を誘導し,最適解の探索を行う。量子アニーリングにおいて,量子ゆらぎの強さをどう制御すれば最適解に確実に到達することが出来るかについて,いくつかの定理が証明されたことを受けて,目標とする基底状態に縮退かある場合の量子アニーリングの性能評価を行った。その結果,一般には,縮退したすべての状態に単純な形での量子アニーリングによって到達することは困難であることが明らかになった。しかしながら,あらゆる基底間の遷移を同じ重みで許すようなアルゴリズムを採用するとこの困難は回避され,すべての状態に等確率で到達することも示すことが出来た。この後者の手法の問題点は,通常のコンピューター上でシミュレーションを行うために量子・古典対応を実行すると,複雑な相互作用が出てきて実行方法が自明でなくなることである。この点についての研究も進行中である。
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