2007 Fiscal Year Annual Research Report
近似的確率計算アルゴリズムのレプリカ拡張に関する研究
Project/Area Number |
18079006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
樺島 祥介 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (80260652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 治 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (80158617)
竹田 晃人 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教 (70397040)
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Keywords | レプリカ法 / レプリカ対称性の破れ / 平均場近似 / 確率伝搬法 / ランダム行列理論 / TAP方程式 |
Research Abstract |
本研究は,複雑な形状の確率分布に対する近似精度を向上させるためのアイデアとして研究代表者が最近提案した「レプリカ拡張」の方法を様々な系に適用し,その有効性と限界を明らかにすることを目的としている.具体的にはi)様々なアルゴリズムのレプリカ拡張,ii)具体的な問題に対するレプリカ拡張の応用,iii)レプリカ拡張の数理という3つの小目標を立てて研究を進めている.今年度はそれぞれの目標に対して以下の成果が得られた. i)に関する成果:一層ニューラルネットワークで表現される一般の確立モデルにレプリカ拡張を適用する際に土台となるランダム行列に関する積分公式を導いた.また,この積分公式を用いて近似的な推論を行うためのアルゴリズムを開発した.この成果はJ. Phys. Conf. Ser. 95, 012001(2008) として公表されている. ii)に関する成果:上記成果を無線通信の研究に応用し,広い状況をカバーする線形ベクトル通信路のモデルクラスに対して,性能評価を行う枠組み,ならびに,近似的にベイズ最適な信号検出を行うためのプロトタイプとなるアルゴリズムを与えた. iii)に関する成果:レプリカ拡張と大偏差理論におけるレート関数ならびにスピングラス研究における純状態エントロピー(Complexity)との関係を検討した.また,確率伝搬法が厳密な結果を与える系に対して,レプリカ数を複素数まで拡張し,大自由度極限においてレプリカ対称性の破れが生じる機構と分配関数の零点(Lee-Yang Zero)との関係を調査する研究に着手した.
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Research Products
(4 results)