2006 Fiscal Year Annual Research Report
情報エントロピーの概念に基づいた情報統計力学の再構築と情報通信理論への展開
Project/Area Number |
18079010
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 利幸 京都大学, 情報学研究科, 教授 (10254153)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 一尊 京都大学, 情報学研究科, 助手 (70365469)
|
Keywords | 情報統計力学 / 情報理論 / 情報通信 / 確率的情報処理 / レプリカ法 / CDMA / MIMO / 密度発展法 |
Research Abstract |
本年度は,統計力学における自由エネルギーの概念が,情報理論における情報エントロピーの概念にいかに関連づけられるかを検討した.CDMA通信路モデルを特別な場合として含む一般の線形なベクトル通信路に対する情報統計力学からの解析結果を主要な検討の対象とした.具体的にはまず,通信路行列がランダムな線形ベクトル通信路の入出力間の相互情報量と関連づけることのできる系の自由エネルギーに対して,大システム極限を仮定してレプリカ法による解析をできるだけ一般的な条件のもとで行い,解析結果の情報理論的な解釈を検討した.一自由度あたりの自由エネルギーは,Guo-Verduのデカップリング原理によって得られる等価なスカラーガウス通信路に関する自由エネルギー,通信路出力にもとづく入力の事後平均推定量の平均2乗誤差および事後分散,ならびに事後平均推定量で条件づけられた通信路出力の条件つき情報エントロピーによって表されるという結果が得られた.しかし,具体的な表式の細部に関する解釈は本年度の研究で十分なものが得られたとは言いがたく,さらに研究を進める必要がある. 平行して,ベクトル通信路モデルにおける情報シンボルの推定の問題を考え,確率伝搬法にもとづく情報シンボル推定のアルゴリズムについて,上記と同様の一般的な条件のもとで密度発展法(統計神経力学)による解析を検討した.これにより,密度発展方程式の停留条件とレプリカ解析の鞍点方程式との形式的な対応関係が非常に一般的な条件のもとで成立することが確認された. また,以上の解析的な検討の妥当性を多面的に検証するために,多様な条件のもとで数値シミュレーションを実施した.数値シミュレーションの実施はおもに中村一尊(研究分担者)が担当した.
|
Research Products
(5 results)