2007 Fiscal Year Annual Research Report
情報エントロピーの概念に基づいた情報統計力学の再構築と情報通信理論への展開
| Project/Area Number |
18079010
|
|---|
| Research Institution | Kyoto University |
|---|
Principal Investigator |
田中 利幸 Kyoto University, 情報学研究科, 教授 (10254153)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 一尊 京都大学, 情報研究科, 助教 (70365469)
|
|---|
| Keywords | 情報統計力学 / 情報理論 / 情報通信 / 確率的情報処理 / レプリカ法 / CDMA / MIMO |
|---|
| Research Abstract |
統計力学における自由エネルギーの概念が,情報理論における情報エントロピーの概念にいかに関連づけられるかの検討を行った.CDMA通信路モデルを特別な場合として含む一般の線形なベクトル通信路に対する情報統計力学からの解析結果を主要な研究の対象とし,具体的にはまず,情報シンボルの近似的反復推定アルゴリズムについての密度発展法にもとづく解析として,情報シンボルが二値の場合に対して外部情報伝送解析(EXIT解析)の適用を試みた.今年度は基本的な定式化を行い,密度発展方程式やレプリカ解析によって得られる鞍点方程式と対応する表式が得られたが,二値情報シンボル以外の場合への拡張については今後さらに検討を進める必要がある.また,ある種のランダム行列によって定義されるベクトル通信路モデルに対するレプリカ解析結果に基づき,通信路容量を最大にするようなランダム行列の特徴づけを行った.得られた特徴づけは,情報シンボルがガウス分布に従う場合について知られていた結果が非ガウスの情報シンボルに対しても成り立つことを強く示唆するものである.並行して,無限次元極限における疎なランダム行列の漸近固有値分布に関する詳細な解析を行い,漸近固有値分布が非零要素の分布にどう依存するかについて実験的に調べた.
以上の解析的な検討の妥当性を検証するために数値シミュレーションを実施した.数値シミュレーションはおもに中村一尊(研究分担者)が担当した.また,当初の研究計画に従い研究支援者としてFarbod Kayhan氏の雇用を開始した.
|
