2006 Fiscal Year Annual Research Report
確率推論における近似解法の理論的解析および情報工学への応用
Project/Area Number |
18079013
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
池田 思朗 統計数理研究所, 推論研究系, 助教授 (30336101)
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Keywords | 確率伝搬法 / 情報幾何学 / 統計物理学 |
Research Abstract |
平成18年度は,本特定領域の初年度であった.これまでの申請者の研究で得られた確率推論に対する情報幾何学をもとにした数理的枠組みを理論面,応用面において拡張していくための準備,そして応用面での研究を中心に行った.また,簡単なシミュレーションのため,二台の計算機を導入し,高級言語であるMATLABを用いて実験などを行った. まず,工学的な応用として,デジタル衛星放送の移動体における受信の向上のための理論的,実験的研究を行った.現在,乗用車におけるデジタル衛星放送の受信は難しい.これは販売されているシステムが高価でサイズが大きいことが理由である.この問題に対して,通信路の推定,および通信路に基づく符号語の推論を確率伝搬法によって行い,誤り訂正能力が向上することを実際の測定データを用いて実験的に示した.結果については技術報告を行い,論文として投稿中である. また,脳における運動計画に対する数理的アプローチについても研究を行った.運動計画の問題はこれまでは身体の軌道計画という枠組みでとらえられてきたが,脳の発する運動指令の関数を制限し,運動指令の最適化として定式化しなおした.これによって,運動計画の問題が過完備な基底関数のもとでの関数の最適化問題として再定式化され,最近,統計学,機械学習の分野で頻繁に用いられている,疎表現を求める手法によって解決できることが示された.この結果については平成18年度に論文誌に提出,採択され,平成19年に出版される論文誌に掲載されることになった.
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