2008 Fiscal Year Annual Research Report
確率推論における近似解法の理論的解析および情報工学への応用
Project/Area Number |
18079013
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
池田 思朗 The Institute of Statistical Mathematics, 数理・推論研究系, 准教授 (30336101)
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Keywords | 確率伝搬法 / 情報幾何学 / 統計物理学 |
Research Abstract |
平成20年度に実施した研究の成果は, 主として次の二点にまとめられる. 1. 本特定領域研究では, 確率推論に対する理論的研究の結果を工学的に応用する研究をおこなってきた. 具体的には, 工学的な応用の対象としてデジタル衛星放送受信の改善手法を提案した. 20年度はその結果について, 論文誌上で発表をおこなった. 基礎となる理論については和文紙の「統計数理」誌において, 実際に測定したデータを用いた応用の結果については「電子情報通信学会論文誌」の英文誌(IEICE)において発表した. 本手法はデジタル衛星放送を対象としているが, 背後にある理論は一般的である. したがって, 今後他の放送受信や通信における応用が期待できる. 2. 20年度は新たに神経細胞のもつ通信路容量に関する研究をおこなった. これは本特定領域の研究項目C : 生物情報との交流から生まれた研究である. 本特定領域が共催した国際シンポジウムにおいて, 研究項目Cの研究成果として神経細胞のおこなう情報処理に関する解析結果が示された. また, 神経細胞の通信路としての性質に関する生理学に基づく解析結果も示された. これらの結果を基に, 情報理論の基礎となる通信路容量を求める研究を始めた. 神経細胞の通信路容量に関する研究は古くから存在するが, 決定的な結果は未だに得られておらず, 本研究はこの分野において大きな貢献ができると考えている. この結果については統計数理研究所の技術報告(Research Memrandom)において発表をおこない, 21年度中に査読付き論文が英文論文誌(Neural Computation)に掲載されることが決定している.
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