2009 Fiscal Year Annual Research Report
分散符号化による適応的計測・通信システムの提唱と構築
Project/Area Number |
18079015
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Research Institution | NTT Communication Science Laboratories |
Principal Investigator |
村山 立人 NTT Communication Science Laboratories, メディア情報研究部, 研究主任 (80360650)
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Keywords | 情報統計力学 / センサーネットワーク / 計測工学 / 情報システム / 数理工学 / 統計力学 / ネットワーク / 制御工学 |
Research Abstract |
本計画研究では,計測機器と無線回路が実装されたセンサー端末が大規模に相互接続している計測・通信システムが次世代の社会基盤となると予想し,そこに立ち現れる協同現象の発見と解明,及びその工学的応用に資するソフトウェア基盤の構築を目指した.ここでは情報理論の定式化を援用し,有限の電力消費と計測ノイズの存在に対応した数学的抽象化を実施した.さらに,各センサーに計測データの不可逆な分散符号化を行う自由度を与えた実装を提案することで,センサー集団の現実的システム化における「計測」と「通信」の干渉メカニズムを解明することを狙った.そして,この現実的な状況設定では,センサーの数とデータの圧縮率の間に情報理論的な意味でのトレード・オフの関係が存在することを発見した.これは,不可逆データ圧縮による分散符号化を行うことで,システム全体の情報利得を最適化できることを意味する.昨年度は,シャノン限界を達成する最良符号の適用を前提に,計測・通信システムが普遍的に持つべき数学的構造の抽出を試みた.この結果,計測ノイズのレベルに対応した固有のデータ圧縮率が存在し,この圧縮率での協同センシングが情報理論的には最適な方法であるという理論的予想(conjecture)を提出した.特に,外部環境要因による計測ノイズにある臨界値が存在し,それを超えたノイズ領域では最適データ圧縮率の値が限りなく小さくなるという発見は顕著である,今年度は,この理論的予想の正当性を数値実験等により検証し,近似理論の適用限界を指摘している.
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Research Products
(4 results)