2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18080003
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
内藤 方夫 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (40155643)
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Keywords | MgB_2 / ジョセフソン接合 / ホットエレクトロンボロメータ / 電波天文学 / エピタキシャル薄膜 / 超伝導単一光子検出器 |
Research Abstract |
本研究課題は、2001年に発見されたMgB_2(T_c〜40K)を用いた超伝導接合の作製技術を確立し、「ポストニオブ」超伝導エレクトロニクスの基盤を築くことを目的とする。前年度までに確立した分子線エピタキシー成長技術を基礎に、2008年度は、サンドイッチ型接合作製に向けたMgB/バリヤ/MgB_2の三層積層に取り組んだ。最初に試みたのは、接合作製の観点から最も簡単なアモルファスバリヤである。三層積層の一連の成長を反射電子線回折(RHEED)により監視しながら行い、アモルファス層を挟んでも上部MgB_2は単結晶薄膜であることが確認された。また、三層膜の上下MgB_2電極の超伝導特性は単一膜の特性と遜色はない。同じ特定領域に属する名大・藤巻研究室との共同件研究によりMgB_2/a-B/MgB_2接合特性を評価したが、超伝導電流が小さいながら観測され、また、マイクロ波照射により鮮明にシャピロステップが観測されたことから、リーク電流でなくジョセフソン電流であることが確認された。また、マイクロ波のパワーによってはジョセフソン電流が完全に抑制されたことから考えて、余剰電流は少ないと判断される。30GHzでも3次、4次程度のステップまで見えており、高周波応答が期待される。アモルファスバリヤを用いた接合とともに、MgB_2と同構造のAIB_2型硼化物をバリヤとするオールエピタキシャルのSNS接合作製も進めている。積層型接合においては、バリヤ層と上部・下部電極の界面でMgB_2の超伝導性をいかに保持するかが最も重要な課題である。界面でのMgB_2の良好な超伝導性を保持するには、バリヤ材料としてMgB_2と化学的かつ構造的にも似たAIB_2型棚化物を用いることがベストであると考えられる。現在、MgB_2との格子整合が良いAIB_2・TiB_2をバリヤとする接合作製を試みている。
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