2006 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠覚醒、空腹満腹状態に依存した嗅覚神経系の情報処理モード変換機構
Project/Area Number |
18100004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 憲作 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 教授 (60008563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 伯 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (50281647)
柏谷 英樹 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (70328376)
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Keywords | 嗅球 / 徐波睡眼 / 樹状突起間抑制性シナプス / 行動状態 / 脳の内部状態 |
Research Abstract |
嗅皮質の感覚ゲーテイングと並行して嗅球の樹状突起間シナプス伝達が、覚醒・睡眠状態に依存して大きく変動する。 嗅球の僧帽細胞と顆粒細胞との樹状突起間シナプスは、嗅球における側方抑制、同期活動、および嗅覚記憶に関与しているが、このシナプス伝達の大きさが脳の内部状態の変化に伴い、どのように調節されているのかはこれまで全く研究されていない。私たちは、まず、ウレタン麻酔下のラットを用いた電気生理学的研究により、顆粒細胞から僧帽細胞への樹状突起間抑制性シナプスの大きさや持続時間が、大脳新皮質の脳波が徐波時には、速波時と比較して大きく増大することを見出した。さらに、自由行動下のラットの嗅球から外側嗅索の2発刺激で誘導される細胞外電位の変化を記録し、ラットの嗅球の樹状突起間抑制性シナプスの活動の変化を測定した。この結果、顆粒細胞から僧帽細胞への樹状突起間抑制性シナプスの大きさは、徐波睡眠中に最も大きくなり、浅睡眠、覚醒下静止状態、探索行動中と、脳の覚醒状態が上昇するにつれて、減少することを見出した。 この結果は、嗅球の樹状突起間抑制性シナプスが、覚醒・睡眠などの行動状態の変化に対応して、多段階に調節されること示唆している。 さらに、ウレタン麻酔下のラット嗅球の背側面からアセチルコリン受容体のアンタゴニストやアゴニストを還流させるシステムを用いて実験を行い、覚醒・睡眠状態に依存した顆粒細胞から僧帽細胞への樹状突起間抑制性シナプスの大きさの変動に、アセチルコリン作動性の遠心性線維が関与していることを発見した
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Research Products
(6 results)