2009 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠覚醒、空腹満腹状態に依存した嗅覚神経系の情報処理モード変換機構
Project/Area Number |
18100004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 憲作 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 教授 (60008563)
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Keywords | 嗅覚 / においの方向検知 / 嗅皮質 / 神経科学 |
Research Abstract |
嗅皮質の前嗅核のpars externa(AONpE)のニューロンは匂い源の方向検知に関与する 哺乳類は匂い源が左右のいずれの方向にあるのかを決定する嗅源定位をすることができるが、その神経メカニズムに関してはこれまで全く知られていなかった。私達は、ラットの鼻の周りに人工の正中壁を取り付けることにより、右鼻孔の単独匂い刺激および左鼻孔の単独匂い刺激を可能にした。そして、嗅皮質の吻側部にあるAONpE内のニューロンから、微小電極を用いて単一細胞記録をおこない、右鼻孔単独の匂い刺激や左鼻孔単独の匂い刺激に対するスパイク応答を記録した。この実験により、「AONpEの個々のニューロンが、同側鼻孔のみを特定のカテゴリーの匂いで刺激すると興奮性の応答を示し、対側鼻孔のみを同じカテゴリーの匂いで刺激すると抑制性の応答を示すこと」を、私達は見出した。また、「AONpEの個々のニューロンは、嗅源が対側鼻孔より同側鼻孔に近い部位にあるときには大きな興奮性の応答を示すが、対側鼻孔と同側鼻孔の中間部にあるときには小さな興奮しか示さず、対側鼻孔により近い部位にあるときには抑制性の応答を示すこと」も見出した。これらの実験結果は、AONpEの個々のニューロンが同側鼻孔からの匂い入力の強さと対側鼻孔からの匂い入力の強さを比較することにより、匂い源の方向検知に関与することを示している。
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Research Products
(10 results)