2010 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠覚醒、空腹満腹状態に依存した嗅覚神経系の情報処理モード変換機構
Project/Area Number |
18100004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 憲作 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60008563)
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Keywords | 嗅覚 / 嗅球 / 嗅皮質 / 睡眠 / 神経新生 |
Research Abstract |
食後の徐波睡眠時における嗅皮質から嗅球へむかうTop-down神経経路の同期的活動は、嗅球の神経回路の再編成に関与する。 哺乳類嗅球の僧帽細胞は軸索を嗅皮質へと投射するが、嗅皮質のニューロンの一部はその軸索側枝を嗅球へと伸ばし、嗅球の顆粒細胞上に興奮性のシナプスを作る。嗅皮質のニューロンは、覚醒中は外界の匂い情報を、モニターするが、徐波睡眠中は感覚ゲーティングにより外界とは遮断される。我々は、「徐波睡眠中に、嗅皮質のニューロン回路が100ms程度の鋭波(嗅皮質鋭波;olfactory cortex sharp wave)を頻発し、特定ニューロン群の同期活動がこの鋭波に伴って生じること」,および、「この鋭波はTop-down神経経路を介して同側の嗅球に伝わり顆粒細胞を脱分極すること」を見出した。 また、嗅球の顆粒細胞は、成体でも新生するニューロンであるが、「食後の休息・睡眠時に、新生顆粒細胞の細胞死が顕著に増加すること」を見出した。嗅皮質ニューロンの同期活動を電気刺激により誘発すると、新生顆粒細胞の細胞死が増加した。逆に、食後の嗅皮質鋭波の発生を薬理学的に抑制すると、新生顆粒細胞の細胞死の増加はなかった。これらの観察より、食後の睡眠時における嗅球の顆粒細胞の細胞死の増加は、食後の休息・睡眠時に嗅皮質から嗅球へとむかう嗅皮質鋭波にともなうTop-down神経経路の同期的活動によりコントロールされていることが見出された。
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Research Products
(23 results)