2010 Fiscal Year Annual Research Report
脊随損傷患者の血圧調節失調を克服するためのバイオニック血圧制御システムの開発
Project/Area Number |
18100006
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
砂川 賢二 九州大学, 医学研究院, 教授 (50163043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣岡 良隆 九州大学, 大学病院, 講師 (90284497)
樗木 晶子 九州大学, 医学研究院, 教授 (60216497)
戸高 浩司 九州大学, 大学病院, 講師 (40398061)
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Keywords | バイオニック医学 / 血圧制御 / 脊髄損傷 / 自動治療 / 生体医工学 |
Research Abstract |
【背景・目的】頚髄損傷患者は交感神経遠心路の障害により、深刻な体位性低血圧に苛まれる。そのため受動的な頭位の挙上も低血圧のため制限されQOLは劣悪である。申請者は自律神経系に工学的な手法で介入し、制御理論を駆使して循環を制御するバイオニック心臓病学の基礎研究で多くの実績をあげてきた。 本研究は従来の研究成果を元に、頚髄損傷患者の体位性低血圧を非侵襲的に防止するバイオニック血圧制御システムの開発を目指す。【進捗状況】動物実験では瞬時血圧を負帰還しながら交感神経を腹腔神経叢あるいは脊髄硬膜外電極で刺激することで、血圧を制御することができることを示してきた。しかしながら、臨床応用には、さらなる低侵襲化が必須である。そのため、平成18-19年度は体性入力を利用した皮膚の電気刺激による脊髄反射を介した交感神経の活性化制御の可能性を検討した。その結果、非侵襲な皮膚の電気刺激で血圧を変えることができることが明らかになった。平成20-21年度は皮膚の刺激部位、刺激電流の大きさ、周波数、刺激電極の大きさ等について系統的に検索した。その結果、下腹部を中心に最大応答が得られることが明らかになった(知財国際出願)。H22年度はさらに血圧応答の動的な特性を明らかにすることで、バイオニック血圧制御に不可欠な生体応答のモデル化を行った。さらに、神経の持続刺激は慣れ現象をおこすことが知られていることから、実用化の大きな障害になる慣れ現象を回避する間歇刺激法の最適化を行った。これらの成果を導入したプロトタイプを用いた臨床試験により、脊髄損傷患者の頭位を挙上させて誘発される体位性低血圧を当該システムで防ぐことができることが明らかになった。 この実績により当該事業は先端医療開発特区(平成20-24年度)に選定された。
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Research Products
(43 results)