Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 祐典 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (10359648)
原田 尚美 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究センター, サブ・リーダー (70344281)
木元 克典 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究センター, 研究員 (40359162)
坂本 竜彦 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究センター, グループ・リーダー (90271709)
内田 昌男 東京大学, 国立環境研究所, 研究員 (50344289)
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Research Abstract |
本年度は,9月に行なわれた「かいれい」の航海により,東シナ海北部および日本海中〜南部海域から計8本のピストンコアを採取した。船上での観察の結果,そのうち4本が古海洋研究に適する事が判明した。これらの3本のコアについては,基本項目分析が行なわれ,暫定的な年代モデルが作成された。前年度までに採取されたコアのうち,べーリング海北部から採取されたコアについては,14Cによる年代測定および底生有孔虫の酸素同位体比測定を行ない,年代モデルを構築した。そして,砕屑物粒子の粒径が粗くなると共に,底層水環境が酸化的になるイベントが数千年スケールで繰り返し,ハインリッヒイベントに対応した北太平洋中層水形成の強化を表す可能性を示した。また,退氷期の温暖期におけるベーリング海は,成層化して北太平洋中層水が弱まると共に表層のココリス生産性が高まる状態が生じたことが明らかになった。同様の傾向は,十勝沖やオホーツク海においても見られ,北西太平洋の広域にわたる現象と考えられ,温暖化後の北西太平洋の姿を示している可能性もある。日本海のコアについては,砕屑物の粒度分布と石英の結晶化度,ESR信号強度分析を行い,ダンスガード・サイクルに同調して,風成塵の粒度と供給源が変動し,偏西風の強度および軸位置の変動を反映することが明らかになった。更に,東シナ海北部から採取されたコアに含まれる有孔虫殻のMg/Ca比および酸素同位体比の予察的分析を行い,その結果に基づいて表層塩分の推定を行った。その結果,退氷期からHoloceneにおいて,数千年周期での優位な表層水温および塩分の変動が存在する可能性が示唆された。これは,夏季モンスーン変動に伴う揚子江からの河川流出量変動を表わすものと考えられる。
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