2010 Fiscal Year Annual Research Report
DNAアダクトーム解析による未知DNA損傷の構造決定とその生物影響評価
Project/Area Number |
18101003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 知成 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50273488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 憲一 横浜薬科大学, 薬学部, 准教授 (60254306)
高村 岳樹 神奈川工科大学, 応用化学科, 准教授 (50342910)
川西 優喜 大阪府立大学, 産学官連携機構, 助教 (70332963)
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Keywords | DNAアダクトーム / DNA損傷 / 突然変異 / LC/MS/MS |
Research Abstract |
DNA損傷は、発がんの一つの原因であると考えられ、これを検出、定量することは発がんメカニズムを考察したり、化学物質のリスク評価を行う上で大変役に立つと考えられる。DNA付加体はDNA損傷の一種であるが、我々は、生体内のDNA付加体をLC/MS/MSを用いて定量する方法や、未知の付加体も含めて網羅的に検出するDNAアダクトーム法を開発してきた。 この方法を用いて、ヒト臓器中のDNA付加体を網羅的に解析した結果、脂質の過酸化により生成する4-ONEや4-OHE等の有毒アルデヒドによるシトシン、グアニン、アデニンのDNA付加体が、ヒト臓器中で普遍的に存在することを明らかにした。なかでも4-ONEのシトシン付加体は、平均10^7塩基に1個検出されるなど、もっとも主要なものであった。 さらに、DNAアダクトーム法を遺伝毒性試験の一種として利用するため、化学物質を曝露した培養細胞や実験動物の臓器からDNAを精製し、DNAアダクトーム解析を行った。DMBAや4NQOなどの典型的な発がん物質を曝露した実験では予想通りDNA付加体を検出することができ、本手法が、化学物質の安全性評価法として有用であることを示した。特に、加熱食品中によく含まれているアクリルアミドを曝露したラットでは、DNA損傷は精巣に蓄積していること、またこれは大人のラットより若い個体でより顕著であることなどを明らかにした。また、気体状のアセトアルデヒドをマウスに曝露した実験では、鼻腔、肺、皮膚においてDNA付加体が形成されること、さらにその付加体量はAldh2遺伝子多型により影響されることなどを明らかにした。これらは年齢や個人の体質などによる化学物質曝露のリスクを評価する際に役立つ知見である。
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Research Products
(4 results)