2007 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解光電子顕微鏡による超高速磁気応答現象の観測
Project/Area Number |
18101004
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
木下 豊彦 Japan Synchrotron Radiation Research Institute, 利用研究促進部門・分光物性IIグループ, グループリーダー・主席研究員 (60202040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 義近 東京大学, 物性研究所, 教授 (60245610)
福本 恵紀 財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門・分光物性IIグループ, 協力研究員 (20443559)
大沢 仁志 財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門・構造物性Iグループ, 協力研究員 (00443549)
松下 智裕 財団法人高輝度光科学研究センター, 制御情報部門・インターロックチーム, 主幹研究員 (10373523)
室 隆桂之 財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門・材料電子状態解析チーム, 主幹研究員 (50416385)
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Keywords | 光電子顕微鏡 / 磁区 / ダイナミクス / ポンプ&プローブ法 / 時間分解観察 / 放射光 / 微小領域磁性 / 磁気応答 |
Research Abstract |
光電子顕微鏡とX線磁気2色性を組み合わせることで、微小領域の磁気構造観察を行うことが近年盛んであるが、さらに、時間分解測定の技術を組み合わせ、外部磁場に対する磁区運動の様子をストロボスコピックに撮影することを目的に研究を進めた。前年度導入したフェムト秒レーザー、再生増幅器が安定に動作するように、励起用の半導体レーザーを更新し、SPring-8の放射光バンチとの同期を取るようなシステムを構築した。フェムト秒レーザーを1.5Mhzの周波数で、リソグラフィーで作成した微小磁気回路に接続したフォトダイオードに照射することで、放射光と磁場パルスの同期を取り、その磁場パルスに対応するミクロンサイズの微小磁性ドットの磁区運動の様子をストロボ写真として観測することに成功した。与えた磁場パルス幅は約300 p Sであり、数百ナノ秒ごとの繰り返し現象としてイメージを取った。現在その運動の詳細を解析中である。システムの詳細やプレリミナリーな結果をいくつかの学会で紹介した。 また、今後は光誘起によってスピン反転を起こし、その様子を観測すること、交換バイアスが生じるような界面の磁区のダイナミクスを観測することを目的としているため、その静的な磁区観察を行い、その結果も報告した。光誘起磁化反転の観測を目指し、再生増幅器からの強力なレーザーパルスを5kHzで発振し、放射光との同期が取れていることを観測した。この条件では、放射光のバンチが蓄積リングを42周する間に一度同期が取れるという、非常に弱い信号しか来ないことになる。実際の予備実験でも、かなり厳しい結果が出ており、より強い放射光パルスが必要である。これは、エネルギー分解能を若干犠牲にしてでも達成しなければならず、現在放射光ビームラインBL25SUにおいて、その準備を進めている。
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