2006 Fiscal Year Annual Research Report
微生物と植物のペプチド性因子に関する生物有機化学的研究
Project/Area Number |
18101009
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂神 洋次 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 教授 (80107408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小鹿 一 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 教授 (50152492)
近藤 竜彦 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 助手 (30362289)
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Keywords | クオラムセンシング / フェロモン / イソプレノイド / 翻訳後修飾 / CLV3 |
Research Abstract |
1)枯草菌のクオラムセンシングフェロモン:フェロモンの合成とその類縁体の合成を行い、イソプレノイド化トリプトファンの化学構造そのものが、絶対立体構造も含めて、生物活性の発現に非常に重要であることが判明した。もう一つのイソプレノイド化であるシステインの場合にはミイソプレノイド鎖は、単に脂溶性を増加させる役割であるのとは好対照である。特異なイソプレノイド修飾構造を認識する抗体を作成する予定であったが、化学合成が非常に困難であり、今年度の終わりにようやく抗原を合成する方法の目処がついたので、19年度に抗体を作成する予定でいる。その他のイソプレノイド化トリプトファンの普遍性に関する研究も、試みたが見るべき成果が得られなかった。 2)新規植物ペプチド因子:CLV3遺伝子がコードする成熟ペプチドの化学構造を解析し、計画より遙かに順調に、その化学構造を決定することが出来た。すなわち、CLV3遺伝子を過剰発現したシロイヌナズナを作成し、その植物からカルスを誘導した。種々のホルモン条件で培養したカルスの切片を調整し、それをそのままMALDI TOF-MSで分析した(この方法を我々はin situ MALDI TOF-MS法と名付けた)。その結果、CLV3特異的なイオンが検出され、このイオンをMS/MSで解析して、アミノ酸配列を決定し、このペプチドをMCLV3と名付けた。MCLV3は、ヒドロキシプロリン2残基を含む12残基からなるペプチドである。さらに化学合成によりMCLV3および関連ペプチドを合成して、MCLV3がCLV3遺伝子のコードする活性型ペプチドであることを証明した。20年度からは、我々が開発したin situ MALDI TOF-MS法を用いて新たな植物ペプチド因子の化学構造を検討していく予定である。
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