2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18104003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤本 正行 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00111708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野本 憲一 東京大学, 数物連携宇宙研究機構, 特任教授 (90110676)
小笹 隆司 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (90263368)
青木 和光 国立天文台, 光赤外研究部, 助教 (20321581)
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Keywords | 恒星進化 / 超金属欠乏星 / 超新星爆発 / 核種合成 / 化学進化 / 銀河系 |
Research Abstract |
本研究では、超金属欠乏星の理論的観測研究とともに、これまで公表された金属欠乏星の組成の分析結果をすべて収集したSAGAデータベースを構築してきたが、まとめの年度に当たり、集積した1000個を超える銀河系ハローに属する恒星の表面組成に刻まれた元素組成の分布の、理論的・観測的なな成果を踏まえて、詳細な解析を通して、銀河系ハローの金属欠乏星の起源について全体像を導いた。特に、可能な多数の元素について、その増加過程を調べ、金属量[Fe/H]~-2.2と[Fe/H]~-1.8に変動があることを見出し、それが、恒星の初期質量関数の変化によるものと考えられることを明らかにした。それとともに、この初期質量変遷史と恒星の空間分布に相関があることを明らかにした。これは、今後の銀河系の構造形成、初期化学進化の研究の基礎となるものである。また、様々な観測からのデータを集積したSAGAデータベースの可能性を明らかにするのもで、今後、されに充実が望まれる。全体像を取りまとめ、その成果は一部はすでに出版されている。 理論面では、中・低質量の漸近巨星(AGB)について、炭素星過多の恒星の割合から質量放出について、金属量・組成依存性等についての制約との関連を議論した。超新星爆発については、ダストの役割を中心に研究解明した。成果としては、Ia型超新星でのダスト形成・進化計算を行い、Ia型超新星はダストの主要な供給源でないこと、炭素過多AGB星でのダスト形成モデルを構築し、形成されるSiCダストのサイズ分布を明らかにした。超新星ダストの減光曲線は若い(z~1)の赤外線銀河の観測結果をよく再現されることを示した。ま+A82た、星間空間でのダストの粉砕過程とその減光曲線への効果を明らかにした。(3)超新星でのダスト形成・進化モデルで得られた破壊効率、サイズ分布の進化とダスト表面上での水素分子形成を採り入れたone-zone銀河形成進化モデルを構築し、ダストの量だけでなくダストのサイズ分布が星形成率および初期宇宙の銀河進化に多大な影響を与えることを示した。 観測では、銀河系ハロー構造の超金属欠乏星の探査・組成解析を進め、鉄族よりも重い元素(中性子捕獲元素)や亜鉛の著しい過剰を示す星を検出し、その起源および銀河化学進化上の意義を検討した。ハロー構造の形成と関係が深いとみられる矮小銀河の星の組成解析でも端緒的ながら成果を得た。
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